CROCKETT & JONES(クロケット&ジョーンズ)の上級グレードであるハンドグレード・コレクション。
このコレクションには、名作との呼び声が高い AUDLEY(オードリー)の他にも個性豊かなデザイン性を備えたモデルが存在していまして、それらをご紹介していくのがこのシリーズ。
連載第二回目となりました「a variety of HAND GRADE COLLECTION」です。
前回はシンプルなホールカット・デザインの WEYMOUTH(ウェイマス)をピックアップいたしましたが、今回は、正反対のモデルと言えるかもしれません。
それではさっそく。
うってかわって フルブローグ。
モデル名は CLIFFORD(クリフォード)。
ブラックに加え CHESTNUT(チェスナット)という赤茶系のカラーも展開しています。
フルブローグの重厚なキャラクターと、軽快なチェスナットカラーは非常に相性が良く、この組み合わせを外すことはできないでしょう。
色味に惚れたという方も多いカラーリングです。エイジングも楽しめるということで、趣味性の強いモデルでもあります。
「無くて困る」ことはないでしょうが、「あればこんなに楽しいことはない」と言える靴です!
長い時間をかけて作り上げられたオークバークを用いた靴底。ハンドグレードならではの しなやかな履き心地は、主としてここからもたらされます。
ヒドゥンチャネル仕上げを標準仕様とし、アッパーのカラーに合わせてアウトソールの仕上げを変えているのが見てとれます。
さて、前述したように、一般的には「重厚でカジュアル」なイメージと共に語られることが多いフルブローグ(ウイングチップ)のデザイン。
たしかに、アウトドア向けのスポーティな靴であるという出自をたどればそれも納得できますが、ハンドグレードにおいては、337ラストのマジックによってそのイメージは違ったものになるでしょう。
2002年に クロケット&ジョーンズのフランス・パリ店でビスポークシューズを監修しているディミトリー・ゴメス氏の監修により誕生した337ラストは、別名パリラストとも呼ばれており、セミスクエアトウが特徴です。
それはエレガントな雰囲気を醸し出します。
フルブローグといえど、このマジックにかかると、言葉としては矛盾しますが、洗練された野趣とでも言わざるをえない、ドレッシーな雰囲気に変わるから不思議なものです。
これは内羽根式であることや、大きさと配置のバランスを整えたパーフォレーションおよびメダリオンとの相乗効果でもあります。
また、下の画像では見えづらいかもしれないのですが、ウェルトに切り込まれた溝の中をステッチが通っていて、表面に出し縫いのステッチが見えないようになっています。
これもハンドグレードでは標準仕様のひとつなのですが、クリフォードの場合はそれが最も効果を発揮していると言えるかもしれませんね。
フルブローグなのに、ドレッシー。
ボテッとしない、キレのあるフルブローグに仕上がっています。
例えばチェスナットであれば、ざっくりとした紡毛素材や大柄のチェックなど、装いを楽しむためのお供にいかがでしょうか。
またブラックなら、337ラストの完成された形と伝統的なブローグの意匠がベーシックなスーツスタイルの別の側面を引き出してくれるはず。
337マジックにかかればフルブローブもドレッシーに。
履けば履くほど味の出るキャラクターです。
Crockett&Jones 品番:29503A-C01L3(上) / 29503A-A03L3(下)モデル名:Clifford
- 素材:Aniline Calf(上)/ Antique Calf(下)
- 色:Black(上)/ Chestnut(下)
- 底材:Single Leather(Oak Bark)
- 製法:Goodyearwelt
- ウィズ:D
- 価格:¥107,800(税込)
クリフォード、いかがでしたでしょうか?
次回はこれからの季節におすすめのモデルをご紹介いたしますのでどうぞお楽しみに!